ピラティスの呼吸法とは?効果を高める正しいやり方とコツを解説

ピラティスのエクササイズにおいて、動きと同じくらい大切なのが「呼吸」です。
呼吸は、ただ酸素を取り込むためのものではなく、身体を安定させ、動作を支える“土台”となります。

ピラティスで用いられる呼吸法は「胸式ラテラル呼吸」と呼ばれ、体幹(インナーマッスル)を引き締めながら深く呼吸を行うのが特徴です。
この呼吸を正しくマスターすることで、姿勢改善や代謝アップ、集中力向上など、心身にさまざまな良い変化が生まれます。
この記事では、呼吸法の基本から実践ステップ、効果を高めるコツまでを詳しく解説していきます。

 

 

ピラティスの基本となる「胸式ラテラル呼吸」とは?

ピラティスで最も重要とされる呼吸法が「胸式ラテラル呼吸」です。これは、ヨガなどで行われる腹式呼吸とは異なり、お腹を膨らませずに肋骨(胸郭)を左右や背中側へと大きく広げていく呼吸法です。
お腹を薄く引き締めた状態をキープしながら呼吸することで、体幹を安定させたまま動くことができます。
この状態を保つことで、動作中のブレが減り、より質の高いエクササイズが可能になります。

 

ヨガの「腹式呼吸」との違い

ヨガでは主に「腹式呼吸」を用い、息を吸うときにお腹を大きく膨らませることで副交感神経を刺激し、心身をリラックスさせます。
一方、ピラティスの胸式ラテラル呼吸は、お腹を薄く保ちつつ、肋骨を横や背中側に広げるように呼吸します。この呼吸法は交感神経を活性化させ、身体を“動ける状態”に導きます。
つまり、ヨガが「静の呼吸(リラックス)」であるのに対し、ピラティスは「動の呼吸(アクティブ)」です。
目的が異なるからこそ、呼吸法も異なるのです。

 

 

ピラティスの呼吸で得られる3つの効果

呼吸法を正しく行うことで、エクササイズの質が高まるだけでなく、日常生活にも良い影響が現れます。
ここでは、ピラティス呼吸がもたらす代表的な3つの効果を紹介します。

 

1.インナーマッスルが鍛えられ、体幹が安定する

息を吐くときにお腹を薄く引き締め、細く長く息を吐ききる。
この動作によって、お腹の奥にある「腹横筋(ふくおうきん)」が活性化します。腹横筋は“天然のコルセット”とも呼ばれ、背骨や骨盤を正しい位置に保つ働きをします。

この筋肉を意識的に使うことで、身体の軸が安定し、エクササイズ中のフォームが崩れにくくなります。
さらに、姿勢の改善や腰痛の予防にもつながるのが、この呼吸の大きな魅力です。

 

2.血行が促進され、代謝がアップする

胸郭を大きく広げることで、肺に取り込める酸素量が増えます。その酸素が血液に乗って全身を巡ると、細胞が活発に働き、血流が促進されます。

結果として基礎代謝が上がり、冷えやむくみの改善、疲れにくい身体づくりへとつながります。
深い呼吸を繰り返すことは、身体の“内側から整えるデトックス”でもあるのです。

 

3.自律神経が整い、心身がリフレッシュされる

呼吸は、自律神経に直接働きかけることができる唯一の方法。
ピラティスの呼吸は交感神経を適度に刺激し、集中力を高めながらも、呼吸のリズムが心の安定を生みます。

動きと呼吸を連動させることで、頭の中がクリアになり、終わったあとは驚くほどスッキリとした感覚に。
「動く瞑想」ともいえるこの感覚は、多くのピラティス愛好者が感じている魅力のひとつです。

 

 

【初心者向け】ピラティス呼吸法の正しいやり方3ステップ

ここからは、胸式ラテラル呼吸を実際に行うための3つのステップを紹介します。
仰向けの状態で行うため、初心者でも取り入れやすい方法です。

 

ステップ1:仰向けになり、骨盤をニュートラルに保つ

床に仰向けになり、膝を立てて足裏を床につけます。
骨盤の前側の突起(上前腸骨棘)と恥骨を結んだラインが床と平行になる位置が“ニュートラルポジション”です。
腰と床の間に手のひら1枚分の隙間ができるのが理想。
この骨盤の位置を保つことで、体幹を安定させたまま呼吸を行う準備が整います。

 

ステップ2:鼻から息を吸い、肋骨を横と背中へ広げる

鼻からゆっくりと息を吸い、胸郭を広げていきます。
このときお腹を膨らませず、薄い状態をキープすることがポイント。
両手を肋骨の下に添えて、吸うときに手が左右に広がるのを感じてみましょう。
アコーディオンのように胸が広がる感覚がつかめればOKです。

 

ステップ3:口から細く長く吐き、肋骨を閉じる

口をすぼめて、ろうそくの火をゆっくり吹き消すように吐きます。
息を吐くと同時に肋骨が中心に寄っていき、お腹がさらに薄くなります。
このとき、下腹部や骨盤底筋群も引き上げるように意識すると、よりインナーマッスルに効かせることができます。

 

 

呼吸の効果を高める5つのコツ

呼吸法は手順だけでなく、「意識の向け方」で効果が大きく変わります。
ここでは、より質の高い呼吸を行うためのポイントを5つ紹介します。

 

1.お腹を薄く保つ意識を持つ

息を吸うとお腹が膨らみやすいですが、常におへそを背骨に引き寄せる意識を持ちましょう。
腹横筋が常に働く状態を保つことで、体幹の安定が高まります。

 

2.肩や首の力を抜く

呼吸を深くしようとして、肩や首に力が入ると胸郭が動かず、呼吸が浅くなります。
肩を下げて、耳と肩の距離を保つように意識しましょう。リラックスした状態でこそ、胸郭がしなやかに動きます。

 

3.肋骨に手を当てて確認する

両手を肋骨の下に添えて、吸うときは外側に広がり、吐くときは内側に戻る動きを感じてみましょう。
手で感じることで、自分の呼吸が正しくできているかを確認できます。

 

4.背骨をまっすぐに保つ

背中が丸まると胸郭が広がりにくくなります。頭のてっぺんを糸で軽く引っ張られているようなイメージで、背骨を長く伸ばしましょう。
良い姿勢こそ、深い呼吸の土台です。

 

5.動きと呼吸をリンクさせる

ピラティスでは「吸う」「吐く」のタイミングが動作に直結しています。
準備や伸展の動きで息を吸い、筋肉を使って動かすときに息を吐きましょう。このリズムを守ることで、動きがスムーズになり、インナーマッスルが効率的に働きます。

 

 

ピラティスの呼吸法に関するよくある質問

ここまでピラティスの呼吸法について詳しく解説してきましたが、実践する中で新たな疑問が生まれることもあります。
特に初心者の方がつまずきやすいポイントや、よく寄せられる質問についてお答えします。
呼吸がうまくできない原因や、エクササイズの環境による違いなど、具体的な悩みを解消することで、よりスムーズにピラティスに取り組むことができるようになります。

 

Q:呼吸が浅くなってしまうのはなぜ?

胸の上部だけで呼吸する癖がついていることが多いです。
また、肩や首に力が入って胸郭が動かないケースもあります。まずは仰向けでリラックスし、呼吸だけに集中する練習を繰り返すのがおすすめです。

 

Q:マシンとマットで呼吸法に違いはありますか?

基本となる呼吸法(胸式ラテラル呼吸)は同じです。ただし、マシンピラティスではスプリングの補助や抵抗によって身体がサポートされるため、
呼吸に集中しやすく、より正確に体幹を使う感覚をつかみやすい傾向があります。

 

 

まとめ

ピラティスの「胸式ラテラル呼吸」は、エクササイズの根幹を支える重要な要素です。お腹を薄く保ちながら肋骨を広げ、体幹を安定させるこの呼吸法によって、インナーマッスルの強化、血行促進、自律神経の安定といった多くの効果が得られます。

最初は少し難しく感じるかもしれませんが、焦らず繰り返し練習することで、身体が自然と“ピラティス呼吸”を覚えていきます。
正しい呼吸が身につけば、エクササイズの質も、日常の姿勢も大きく変わっていくでしょう。

 

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【著者情報】

東田 雄輔

– 資格

・NSCA-CPT(全米エクササイズ&コンディショニング協会認定パーソナルトレーナー)
・JATI-ATI(日本トレーニング指導者協会認定トレーニング指導者)
・NASM-PES(全米スポーツ医学協会認定パフォーマンス向上スペシャリスト)
・NASM-GFS (全米スポーツ医学アカデミー認定ゴルフフィットネススペシャリスト)
・IASTM SMART TOOLs
・PRI Postural Respiration 修了
・PRI Pelvis Restoration 修了
・PHI pilates ACTs

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